らぷらた音楽雑記帳05*西村秀人・南米音楽サイト『カフェ・デ・パンチート』

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らぷらた音楽雑記帳

#005 多国籍タンゴ「カプリ島」の話

2003.03.05

勤務先の近くにたまに行くカレー屋さんがあるのだが、なぜかここでいつもタンゴの「カプリ島」(Isle of Capri)が流れている。理由は不明。その明るく屈託のないメロディーはおよそアルゼンチン製の曲とはかけ離れたものだが、妙に印象に残るのは確か(うる覚えだがヨドバシカメラのスペイン語アナウンスのバックに流れているのもこの曲だったような気がする)。日本のコンチネンタル・タンゴ集にもよく入っている。 しかし考えてみるとこの曲ほど多くの国が関わったタンゴも少ない。
タイトル「カプリ島」は" 青の洞窟" でも知られるイタリア・ナポリ近くの観光地。でも曲はオーストリア人 Wilhelm Groszとイギリス人 James B.Kennedy が作って、1934年にアメリカで出版した。最初のヒットはビング・クロスビー盤とスペイン生まれのラテン王ザビア・クガート楽団の盤。日本では1936 年公演のため来日したドイツのジャズ・バンド、ワイントラウブス(ヴァイントラウブ)・シンコペーターズが日本滞在中に録音したものが大ヒット。 
同じ頃この曲はアルゼンチンのフォルクローレ系ピアニスト、アルヘンティーノ・バージェの編曲によって南米にも紹介され、タンゴのオスバルド・フレセド楽団(ロベルト・ライ歌)のレコードがヒットしている。ライはタンゴ歌手には珍しい甘い声の持ち主だったのでなかなかぴったりのムードである。
アルゼンチンはイタリア系移民が多いということもあるのだと思うが、特に受けたらしい。 タンゴのリズムのみならず、ハワイアンでもよく演奏される。

彼女を見つけたのはカプリ島でのことだった/古いくるみの木の陰で/ああ、今も彼女の周りに花が咲いていたのを思い出す/あのカプリ島、二人の出会った場所...

う?ん...やっぱりタンゴよりハワイアンかな、この内容は... 
アルゼンチン色のうすい話で失礼しました。
文:西村秀人